債務整理系、過払い金弁護士ってそんなに悪い存在なの?

債務整理系、過払い金弁護士ってそんなに悪い存在なの?

債務整理、過払い金弁護士なんて言葉があります。

過払い金、いわゆる消費者金融にお金を借りていた人で、グレーゾーン金利(利息制限法と出資法ではそれぞれ違う金利のため、その差のこと)でお金を借りていた人は、消費者金融からお金を取り戻せるかもしれない!と数年前から盛んにCMを行っている弁護士のことです。

その過払い金弁護士の国内最大手ともいえるアディーレ法律事務所がホームページなどで着手金無料という有利誤認を行っていたとのことで消費者庁から再発防止を求める措置命令が出されました。

アディーレ法律事務所 着手金無料で有利誤認 措置命令

約1カ月間のキャンペーン期間中に契約すると着手金を無料にするなどと表示しながら、実際は約5年にわたりキャンペーンを続けていたなどとして、消費者庁は16日、弁護士法人「アディーレ法律事務所」(東京都豊島区)に対し景品表示法違反(有利誤認)に基づき、再発防止を求める措置命令を出した。

毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160217/k00/00m/040/064000c

さすがにこれはまずいですよね。アディーレ法律事務所にはしっかりとした対応を取ってもらいたいものです。

さて、この過払い金弁護士ですが、業界内では非常に評判が悪い。弁護士業界だけでなく他の士業や識者の方たちからもイメージ的にはあまりいい印象を抱かれていないようです。

なぜイメージが良くないのか。それは一言で言うと簡単に儲けているから。

過払い金というのは、ものすごく簡単に言うと消費者金融から自分が借金をした履歴を取り寄せて、利息制限法と出資法を差額で自分がいくら払い過ぎているかを計算し、それを消費者金融に通知すればお金が戻ってくるんです。

もっともすぐに満額戻ってくるということではなく。消費者金融ともろもろお話し合いをしなければいけません。

なので弁護士に頼まなくても自分でやろうと思えばできるんです。でもやってみるとすんなり行く場合もあるし、消費者金融に色々と言われることがあります。

弁護士であればその辺は心得ているのであるていど定型化した業務として大量にさばくことも可能です。

難易度としては結構低め。さっき言ったように消費者金融から履歴をもらって計算して、差額を取り戻すだけなんで。

なんでこんな簡単なのかと言えば、最高裁判所が利息制限法と出資法の間のグレーゾーン金利が違法って判決を出したからなんです。

先程のグレーゾーン金利のことも併せて最高裁の判断もこちらをご覧ください。

グレーゾーン金利
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3%E9%87%91%E5%88%A9

この判例ができる前までは弁護士がかなり消費者金融と交渉したり裁判を起こさないと、過払い金は戻ってきませんでした。

なのでこの判例の前に過払い金を扱っていた弁護士事務所は多くはなく、債務整理(交渉して借金の減額などを行う)を行うのが一般的でした。

でもこの判例が出てしまった以上、消費者金融としてはグレーゾーン金利について返還の請求があれば返さなければならなくなってしまったため、弁護士にとっては余計な交渉などが必要なくなった分業務が簡単になったんですね。

履歴取寄せ→利息計算→請求なんて業務なら弁護士じゃなくてもやり方が分かればできるわけです。

なので過払い金弁護士の事務所の奥は弁護士の数に比べて事務員の数が多いわけです。

単価を考えれば弁護士より事務員の方が安いのは当然ですし、事務員でも十分行えるので事務員が行うのは当然と言えば当然です。

なので大量に事件処理をすることが可能で、且つ人件費は安くなるわけです。

そうすると儲けがかなり出るんですよね。そう、簡単に儲けが出るんです。

もちろん簡単といっても、大量のお客さんを捌かなければいけないし、業者との交渉もあり、お客さんからの要望もあり、なんやらかんやらと色々とあるわけなのですが、それでも普通の弁護士事務所に比べたら儲けは大きくなります。

なので普通の弁護士事務所からは儲け過ぎと言われ、四大事務所やそれに準ずる事務所なんかからは一般市民の相手しかできない下等な事務所くらいの勢いで見られてしまっているのです。

弁護士業界の中ではなぜか知らないけど渉外、つまり大企業を相手にきったはったをする事務所がステータスが高く、一般の離婚やら交通事故やら債務整理なんて案件はあまり筋のいい案件と思われていない節があります。

まあ、この辺はイメージなので仕方がないのですが。

でここからが本題ですが、過払い金弁護士はそんなに悪いことをしているのでしょうか。

今回のアディーレ法律事務所の件は景品表示法違反という弁護士の業務としてではなく広告のやり方の問題でした。

確かに過払い金弁護士は儲けている事務所が多いです。

でも、それは依頼者からの借金を取り戻せた結果なわけです。

多くの過払い金事務所が相談無料、成功報酬を謳っています。債務整理や破産の場合は着手金を取ったりしますが。

なぜ過払い金弁護士が批判されるのかよくわからんのですよ。

お金を取る弁護士事務所なんて世の中に腐るほどあります。それこそ四大事務所の弁護士費用なんてべらぼー、と聞いてます。実際に相談したことないから分かりませんが。

相談者が個人と大企業だから報酬に差がある、個人からそんな金額をむしり取るとは何と言うことだ!っていう指摘もわかります。

とは言え詐欺を働いているわけでもないし、お互い納得した上で報酬は支払われているはずですし、さっきも書いたように自分で過払い金の返還請求はやれるんです。

債務整理をしてもらったけど、返ってきたお金より弁護士費用の方がかかって赤字になったなんて話も聞きますが、弁護士も慈善事業を行っているわけではないので着手金などがかかる場合はそういったこともあるでしょう。

弁護士費用の方が裁判して勝って受取った金額より高くなることなんて往々にしてあります。

もし仮に詐欺みたいな話であれば弁護士会に懲戒請求をすればいいでしょう。

ちなみに弁護士の懲戒請求は過払い金弁護士よりもよっぽど普通の弁護士の方が多いです。

むしろこんなに懲戒受けてるのかってびっくりします。

弁護士懲戒処分検索センター
http://shyster.sakura.ne.jp/

だからなんで債務整理系過払い系の弁護士が業界から叩かれているか分からない。

むしろ積極的に広告を出し(アディーレはやりすぎたけど)、弁護士に相談する敷居は相当低くなったはず。

弁護士会なんかはよくもっと多くの方に気軽に弁護士に相談してもらいたいなんて言うけど、相変わらず報酬がいくらなのか分からないし、ハードル下げようって気が無いんじゃないかって疑ってしまう。

過払い金も正規の手続きで返還請求を行っているから問題ないと思うんだけどな。

弁護士が最後に印鑑押すだけで、事務員が全部やっているから弁護士法72条違反だ非弁行為だって話もよく上がるけど、それなら弁護士会が積極的に過払い事務所を調べ上げて懲戒請求すればいいんです。

それをやらないってことは概ね問題が無い範囲で作業を行っているってことなんだと思います。

法的判断が関わると思われる部分は弁護士がやるのは当然ですが、それ以外は事務員に任せてもいいんじゃないのかな。

極端な話だけど、弁護士が電話番までやるなんてさすがにナンセンスだし、コストかかりまくりだよね。

で、ここまで書いていてなんですが、僕は弁護士という資格はさっさとなくすべきだと思っています。

というよりもより細かく専門分野を分けて取得しやすくするべき。

今は範囲が広大すぎて弁護士になるのが難しすぎます。それでも法科大学院ができて弁護士の人数は増えたけど。

弁護士という資格を、民事弁護士、刑事弁護士、商事弁護士、行政弁護士みたいな感じで分けて社会人が働きながら勉強しても受かるような制度にすればいいんじゃないかと。

難易度的には行政書士のちょっと難しいバージョン。

弁護士は資格を取得してしまうとあまりにもオールマイティな感じがしてしまいますが、結局のところ得意な分野というのがある程度決まってくるんです。

もちろんなんでもオールマイティにって人もいますけど、相談する側からすると契約書の件で相談に来ているのに離婚とか行政裁判もできますなんて弁護士はいらないわけです。

なので企業法務周りに強い弁護士がいればそちらに相談するし、弁護士も自分の得意分野だけ受けている方がスキルも上がっていくのでいいと思うんですよね。

例えるなら今の弁護士は百貨店で何でも売っている、だから高い。そうじゃなくて家電や服、お総菜など得意分野だけだけどその分、質も高く値段も安い弁護士のような存在がいればそれが一番。

あー、お医者さんの方が例としてはいいのかな。基本的に医師免許持っていれば何でもできるけど、ほとんど専門分野が決まっているようなもんだし。

弁護士になれば税理士の登録もできるって話も、実務が全然わかっていない税理士のいっちょあがりなだけで意味が分からない。

もちろん全てを完璧にこなす人がいると思うので弁護士って資格が残ってもいいけど、より多くの人に的確なサービスを提供するにはある法律全体に強いのではなく、特定の分野に強い人こそが求められると思うんですよね。

なので弁護士なんて資格はさっさと廃止してもっと細かく細分化した士業を作った方がいいと思います。

もしくは司法書士、行政書士、社労士、税理士に代理権をもっと委譲するようになると良いな。

ていうかやっぱり資格なんてなくてコンサルタントでいいと思うんだなー。怪しい人を排除するために、都道府県か経産省あたりに登録制とかにして。

使えない弁護士よりもコンサルタントの方が実務をよくわかってることもあるしね。

あー、とっちらかってしまったけど、債務整理系の弁護士はそんなに悪い存在じゃないよってことで。